家の近所に保育園があった。4年保育であるが、私は5年通った。落第したのではない。普通の子供より1年早く入れてもらったのだ。年少組を2回やった。お陰で、保育園の行事ではいつも代表である。
家が近かったこともあり、よく脱走をした。家に帰りたかったわけではない。家に帰りたいと泣いている子を、私の家に連れて行ってあげただけである。初めて脱走をした時は、保育園で大騒ぎになったらしいが、2回目からは先生たちも心得ていて、直ぐ家に迎えに来るようになった。ちなみに、家に連れて帰ってくる子は、いつも女の子だったらしい。
ある日、保育園からの帰り道、自転車が後ろからぶつかって来た。自転車はそのまま行ってしまった。ひき逃げである。立とうとしても立てない。近所の人が家に連れて行ってくれた。泣いている私に、母親は「自転車にぶつかったくらいで、泣くんじゃない!立ちなさい!」と言う。でも立てない。近所の接骨院に連れて行かれた。左足の骨が折れていた。即、入院である。
別の日、「車の後ろから飛び出してはいけない」と言われていたので、バスが停まっている前から道路を渡ろうとした。ところが、停まっているバスを後ろから追い越して来た、急行バスにはねられてしまった。直ぐに病院に運ばれた。幸い打撲だけだった。