中学1年生の終わりごろ、高校生が担当していた新聞配達の地区を譲ってもらった。配達軒数は100軒、アルバイト代は、月10000円である。高校生はバイクで配達していたが、私は自転車である。ただ、配達地区が街中なので、一軒一軒が近い。夏の野菜はもらえなくなるが、バイクを買うためには、軒数の多い地区を配達しなければならなかった。
100軒分の新聞の他に、朝日新聞を1部多く持って行く。自分の家の分である。ある日、牛乳配達をしている友達が、牛乳と新聞を交換してくれと言うので、1部多く持っていた新聞と交換した。それからは毎日2部多く新聞を持って行くことにした。
中学3年生の夏ごろ、闘犬の散歩のアルバイトの話が柔道部に来た。飼い主のご主人が体を悪くしたということだった。柔道の大会も終わっていたので、3年生が引き受けた。一人1頭ずつ担当することになった。アルバイト代は1回500円、ラーメン付きである。ある日、町で闘犬の試合があった。私たち散歩係は、馬主ならぬ犬主席で見ることが出来た。私が担当していた犬は、大関で「力」(りき)という名前だった。生憎その日の試合で「力」は負けてしまった。負け方が悪かった。次の日、散歩のために犬小屋に行くと、「力」は居なかった。散歩のアルバイトは2か月で終わった。