中学1年のある日、お昼でお弁当のふたを開けるとご飯とキムチだけだった。キムチは嫌いではないが、匂いが強烈なのには困った。先生が見かねたのだろう「俺はキムチが大好きなんだ!俺のパンと交換してくれ!」と言うので、パンと交換した。パンと言っても1個2個じゃない。先生はいつも購買部から大量にパンを買ってきて、食べきれない分は生徒にあげていた。その日は、先生のパン全部と私の弁当を交換した。
さすがにパン全部は食べきれない。と言うより、パンよりご飯が好きだった。友達との物々交換を思い立ち、パンとご飯+おかずを交換して廻った。キムチ弁当が、豪華なお昼になってしまった。
お腹が空くと、よく学校の近くにあるパン工場に行って、パンの耳を売ってもらった。友達と10円ずつ出し合って、50円分のパンの耳を売ってもらった。茶色い大きな紙袋一杯のパンの耳が買えた。楽しみはパンの耳と一緒に、カステラの切れ端が入っていることだ。カステラの切れ端は美味しかった。
自衛隊に入隊して、江田島に行った。上陸してお金が無かった時、パンを作っているお店があったので、パンの耳を買いに行った。そこのご主人に「何十年もここでパンを売っているが、パンの耳を買いに来た人はいない」と言われた。パンの耳を買うのは止めた。