就職して定時制高校に行くくらいなら、自衛隊にでも入るかくらいに考えていたので、福島県トップレベルと言われて、かなり動揺した。私の中学校だと、常に10番以内に入っていないと受からないと言われた。
試験範囲は3年生の2学期までで、応用問題は出ない。基本問題だけだが受からないそうだ。5教科の他に、英語と数学がもう一回ある。これは全て記述で、英語は長文読解と英文の記述である。数学は、答えが合っていてもその過程が間違っていると×になる。全て50点満点で、1教科でも30点以下があると、不合格になるそうだ。「受験料はタダです。お昼ご飯も出ますから、高校受験の肝試しのつもりで受験してください」と言って、自衛隊の人は帰って行った。完全に落ちると思っている。母親も受かる訳がないと思っているようで、何も聞かれない。
次の日、学校を休んで本屋に行った。アルバイトのお金で、基本問題集を大量に購入した。試験日は次の年の1月5日だった。それまでの約2か月間、用事がある時以外は全て学校を休んで、家で受験勉強をした。中学3年間で、試験勉強をしたのはこの時だけである。風邪と言って学校を休んでいると、友達が見舞いに来る。「お前、元気じゃね~か?!」となるが、自衛隊を受験するとは言えず、言い訳に苦労した。