自衛隊に合格しないと行くところがない。地元で就職先を探さなくてはいけなくなってしまう。定時制高校は二次募集まであるそうなので、とにかく自衛隊の試験勉強に集中した。公立高校がダメと言われているのに、自衛隊に入れると思っているところが、今考えるとおかしいが、その時はそんな余裕は無かった。
試験会場は福島市内だったので、町からはバスに乗って行った。広い会場にたくさんの受験生がいた。無我夢中で受験したので、試験内容はほとんど覚えていない。帰りもバスに乗って帰った。
学校にも友達にも全く内緒で受験をした。受験したのを知っているのは、母親と自衛隊の係りの人だけである。そのお陰で、先生からは高校はどうするのか?と訊かれて、返答に困った。受験しても受からないのは分かっていたが、第一志望である、男女比3:7の高校に願書を出しておいた。
1月下旬、自衛隊の人から家に電話があった。一次試験に合格した。海上希望者で合格したのは、福島県は2名だけと教えられた。この時初めて募集人数が全国で60名だと分かった。その日の夜、自衛隊の人が家に来た。合格したというのにあまり喜んでいない。実はこの後、二次試験があり最終的に合格するのは、福島県からは1名以下と聞かされた。