入校してしばらく経った頃、普通学の教官に呼ばれた。夜の自習時間の時に普通学科教官室に入ると教官が一人でいた。「入学時の成績知りたいか?」と訊かれた。「知りたいです。」と答えると、成績表を見せてくれた。自分だけの成績と思っていたら、合格した60名全員の成績が載っていた。今では個人情報とか言って見せてもらえないと思うが、よい時代であったと思う。
なぜか1番上からから見ていった。名前の横に偏差値が書いてあったが、偏差値75から延々70代がずっと続く。とんでもない所に入ってしまった。こんな頭のいい連中についていけるのかと思った。私の名前がなかなか出てこない。「あった!」55番に私の名前があった。60人中の55番である。下から見た方が早かった。ビリじゃなくて良かった。私の下に5人もいる。変なところで安心してしまった。
教官から「福島から来るやつはみんな頭が悪い。でも安心しろ!自衛隊は頭でご奉公するやつと、体でご奉公するやつがいる。お前は頭が悪いから体でご奉公しろ!」と言われ、教官室から出された。
1期生から24期生までは、1番で合格した生徒が入校式で宣誓をしているそうだ。私は55番だ。なぜ私が宣誓をしたのか、当時班長に訊いたが教えてくれない。未だに分からない。生徒七不思議の一つである。