下宿にいる時の先輩と、学校にいる時の先輩は、別人のように違う。特に指導生徒は二重人格かと思った。
入校して初めの1か月間、各班に二人の4年生が指導生徒として配置される。指導生徒とは読んで字のごとく1年生の指導をする生徒である。4年生はあまり1年生に関わらないが、この指導生徒だけは違う。小さなことから大きなことまで、とにかくうるさい!指導生徒から注意(指導)されることは、当たり前と言えば、当たり前なのだが…優しくない。
例えば食事である。食堂に入る時は必ず手を洗って、ハンカチで手を拭く、お盆は両手で持つ。食堂の椅子を曳く時は音を立てない。食事をする時には「いただきます」終わったら「ご馳走様でした」。テーブルに肘をつかない。足を組まない。食器は手で持って食べる。食事中は大きな声で話さない。椅子は元に戻す。
通路を歩く時も、右側を歩く、真ん中を歩かない。曲がる時も、右に曲がる時は小回り、左に回る時は大回りである。先輩や教官の横や後ろを通る時には「失礼します」と声をかける。室内から出る人が優先など。
服装は特にうるさく、革靴は毎日磨く、かかとを潰さない。帽子をあみだに被らない。制服にしわを付けない、汚さない、アイロンをしっかりとかけるなど。
ある意味、教育とは強制(矯正)である。