海上自衛隊と言えば海軍カレーだ。しかし、私が江田島にいた昭和50年代頃は、世間ではあまり知られていなかったのではないかと思う。金曜日のお昼は全部隊がカレーだ。なぜか牛乳が一緒に付いてくる。先輩の話では、艦に乗って航海していると曜日の感覚が無くなる。そのため金曜日はカレーと昔から決まっているらしい。
伝統の味かどうかは分からないが、当時の江田島のカレーは旨かった。おそらく調理員の腕が良かったんだろう。ほとんどの生徒が大盛りカレーである。私の同期に大のカレー好きがいた。彼は食べ終わると、一旦食堂を出て、何食わぬ顔でまた食堂に入って来る。カレーを2回食べるのである。2食分を平らげる強者である。
10代の育ち盛りの生徒が大盛りカレーを食べるのはいいと思うが、一つ問題があった。午後の授業である。腹一杯食べた生徒は、午後の授業中ほとんど起きていられない。睡眠学習か眼球手入れである。授業中寝ていると、試験で赤点を取ってしまう。赤点は上陸止めである。悲しい人間の性で、満腹と睡魔はセットである。
3年生の時、給食委員になった。金曜日の昼のカレーを夕食に出してほしいと言ってみた。驚いたことに1等海士の提案がなぜか採用されてしまった。実験的にとは思うが、当時、カレーが夕食に出されたことがあった。