自衛官は1年に1回実弾射撃を行わなければならない。
生徒も自衛官なので、射撃を行う。
生徒が使用する小火器は米軍から払い下げられたM1ライフルである。
第2次世界大戦中の代物だ。
射撃とは言っても直ぐに打たせてもらえるわけではない。
まずは、銃の分解・整備と組立を覚えなければならない。
部品はそれほど多くはない。
単純な作りだ。
分解した順番通りに部品を並べておいて、組み立てる時は逆からやればいい。
わりと簡単だ。
ところが、さすが自衛隊、甘くない。
講堂を真っ暗にした状態で銃の分解と組立をやらされる。
射撃当日は、トラックに乗せられて射撃場に連れて行かれる。
射撃する側と標的側に分かれる。
標的までの距離は200mである。
標的側は地下トンネルのようなところで標的を上げ下げする。
標的を地上に上げて下から見ていると、鈍い音で弾が標的を貫通するのがわかる。
標的の前に居たら死んでいる。
次は射撃側である。
教官が手本を見せてくれる。
音の凄さに驚かされた。
息を静かに吐きながら、朝霜が降りるように引き金を絞れと習った。
打った時の衝撃はもの凄いが、以外に当たる。
標的の黒点は直径30㎝だ。
人を狙って打ったら当たってしまう。
M1ライフルおそるべし。