中学を卒業したばかりとはいえ、3等海士という階級が付いた自衛官である。
国家公務員特別職である以上、毎月お給料が支給される。
当時は現金支給である。
25日に班長から手渡しされる。
初めてもらった給料は6万円位だったと思う。
新聞を100軒配って1ヶ月1万円だったことを考えれば、かなりの高給である。
ましてや勉強してお金がもらえる。
更に食事に衣服、宿泊付きである。
3月、6月、12月にはボーナスも支給された。
こんないい学校はないはずだが、そんなに甘くはなかった。
渡されて金額を確認すると、直ぐに回収されてしまう。
強制貯金である。
お金の使い方が分からない少年に、お金を与えると問題を起こすというのが、その理由のようだ。
お金が必要な時は、班長に使途を申告して、銀行から下してもらう。
親孝行のまねごとをしようと、初任給で田舎の父親にお酒を送ろうと考えた。
班長に申告して1万円を下ろしてもらった。
酒屋から直接送ればよかったのだが、お店の人に割れる可能性があると言われて、お酒を学校に持って帰って来てしまった。
こうゆう時に限ってというか、運悪くというか、ロッカー点検があった。
お酒は没収。
夏休暇まで班長預かりとなった。
親孝行も夏までお預けとなってしまった。