寝言がもとで海上自衛隊柔道大会の選手になってしまった話は前回した通りである。
しかしながら、寝言で選手になりたいなどと言うとは思えない。
30年ほど経ってから当時のことを聞かされた。
最初から選手と言うと、校長が出場許可を出さない可能性があった。
そこで補欠という事にして舞鶴まで連れてきた。
しかし、どうやって選手にするかが問題だった。
私が遅れた日、寝言で自分から言ったことにしようと、みんなで話し合って決めたそうだ。
当時の私は、高校2年生と同じ歳だ。
相手の選手は全員年上である。
つまり私が最年少なのだ。
自衛隊には体重別という考えがない。
体が大きい方が有利だ。
当時私は、身長170㎝、体重70㎏。
監督から身長があと5㎝、体重があと10㎏あるといい選手になると言われていた。
当時は太らなかった。
練習が終わって、みんなでホルモン焼きを食べに行った。
お腹いっぱい食べて、隊舎に帰る途中、お寿司屋さんがあった。
まさかとは思ったが、みんなでお寿司屋さんに入った。
食べられないくらい食べて隊舎にもどった。
次に待っていたのは、栄養ドリンクである。
各方面から差し入れでもらったものだ。
「高橋、一番若いから毎日10本飲め!」
試合までの間、毎日10本。
夜、寝られなくなってしまった。