「護衛艦はるな」に乗艦して2ヶ月。
この頃になると艦内の生活にも慣れてくる。
他の部署の人たちとも顔見知りになる。
艦は大きな一家のようだ。
「護衛艦はるな」は5インチ砲を搭載していた。
この大砲がよく当たる。
標的のドローンの破片が何個も通路に飾られていた。
撃墜王である。
本来はドローンの付近を狙わなければならない。
ある日、射撃の人に訊いてみた。
「当たり前だろ~狙って撃っている。」とのことだった。
この大砲、別名「福島砲」と呼ばれていた。
理由は、射撃に配置されている人に福島県出身者が多かったからだ。
私の配置は電信である。
普段の勤務は電信室ということになる。
電信室の中に暗号室がある。
電信室の壁側には通信機器がたくさん並んでいた。
艦が停泊中は通信機器の整備作業がある。
それ以外に艦の錆落としやペンキ塗りなどの作業もある。
ある日、先輩から「お前、この機械チョスッタだろう?」と怒鳴られた。
チョスッタ?
「チョスッテません。」と答えたが何を言われているのか分からない。
チョスッタとは、いじったという意味だった。
佐世保の方言だとずっと思っていた。
ところが、大湊(青森)に転勤してチョスッタが青森弁だと分かった。
私を怒鳴った先輩は青森県出身だったのだ。