後期の実習先は館山航空基地隊。
房総半島南部にあるヘリコプター基地である。
陸上だが、れっきとした海上自衛隊の部隊だ。
着任日は昭和57年9月26日(日)。
翌27日(月)の朝、課業整列時に全隊員に紹介された。
その後、通信隊で紹介された。
これからの3ヶ月間はここが私の職場となる。
着任早々、私は受診を申し出た。
2、3日前から体中に赤い斑点が出ていたのだ。
痛くも痒くもないが、悪い病気ではないかと疑っていた。
早速、基地内の診療所で受診することになった。
診療所という名前が、ぴったりの所だった。
待合室と診察室の間はカーテン1枚だけ。
担当の先生は少し高齢の女性だ。
私の体をしげしげと見ているだけで何も言わない。
しびれを切らして訊いてみた「先生、梅○じゃないですか?」
すると「あなた、そうなる可能性があるんですか?でもこれは違いますよ。」
とってもゆっくりと小さな声で話された。
診察が終わって、軟膏を貰って隊に帰った。
直ぐに隊長に呼ばれた。
「高橋、おまえ梅○だって、入院しなくていいのか?」
私が隊に帰るより早く何で知っているんだ。
どうやら、カーテン越しの待合室に居た隊員が、先に帰って話を広めたらしい。
お陰で「梅○の高橋」と基地の有名人になってしまった。