「護衛艦おおい」は、今の護衛艦と違って海水から真水を作る装置がついていない。
そのため、出港前に搭載した真水しか使えないのである。
真水は烹炊所が優先である。
洗面所で水が使えるのは朝15分間だけ。
風呂は週に2回程度で時間が限られている。
浴槽は海水で、シャワーだけ真水である。
この海水風呂、健康に良さそうではあるが、何しろ熱い。
長風呂をさせないためらしい。
浴槽は6人も入ったら一杯になってしまう程度の広さで、
若者はなかなか入りづらい。
洗い方は、シャワー〜体〜頭〜シャワーの順で、
所要時間10分程度である。
浴室内で使えるタオルも、泡切れのよいビニールタオルに限られていた。
徹底した真水管制である。
ある時、グアム〜フィリピン〜沖縄という航海があった。
フィリピンの真水があまり良くないということで、
グアムで搭載した真水を沖縄まで持たせるということになった。
真水非常管制である。
冷房がほぼ効かない暑い艦内で、風呂に入れないのである。
望みはスコールである。
レーダーでスコールを探すことになる。
「間もなくスコールに入る」と艦内マイクがあると、
素っ裸の男たちが上甲板に何十人と上がって来るのである。
その男たちが全員、空を見上げている光景は、
正に異様としか言いようがない。

