「護衛艦おおい」に乗艦して早々、食卓番になった。
食卓番とは皿洗いのことである。
乗員約150人分の食器を朝・昼・晩・夜食と一日4回洗うのである。
通常、食卓番は日の浅い若い隊員の担当である。
私の場合は若いというだけで食卓番にさせられたようである。
3等海曹で食卓番になると食卓番長となる。
皿洗いの長ということある。
通称「番長」である。
「護衛艦はるな」で3ヶ月間、食卓番をしていたお陰で、番長になっても不安はなかった。
艦内生活で一番の楽しみは食事である。
ところが当時の「護衛艦おおい」の食事は、お世辞にも美味しいと言えるものではなかった。
毎週金曜日のカレーも粉っぽく美味しくなかった。
食べられる程度というのが正直な感想だった。
当然のことであるが、乗員からは不満の声が出ていたのである。
ある日のこと、食堂で食器を洗っていた。
他の食卓番が「今日のカレーもまずかったですね〜」
「どうやったら不味いカレー作れるんですかね〜」などと話していた。
私も若かったこともあり「あ〜いうの猫またぎって言うんだろうな〜」と言ってしまった。
すると後ろから「何だと?」というドスの効いた声がした。
私の真後ろに調理員長が鬼の形相で立っていたのである。
その後は言わずもがなである。


