福島県伊達郡川俣町、人口1万5千人「絹の里 川俣」ここが私の故郷である。福島市から国道114号線を浪江町に向かう途中に位置する。阿武隈高地と言うそうだが、要するに山の中にある町だ。私が生まれた52年前は、まだ養蚕業と絹織物業が盛んで、どこの農家にもお蚕様がいて、街中は、機織り工場の音があちらこちらでしていた。私が子供の頃は、母も絹織物の内職をしていた。父は出稼ぎで、トンネルを掘っていた。盆と正月以外は家に居ない。そのため、父親と遊んだ記憶が無い。普段は、母と4つ下の弟との3人暮らし。母子家庭のような生活である。
当時の状況はよく覚えてはいないが、普段父親が居ないためか、母親はご近所から下に見られ、つらい思いをしたようである。母がよく泣いていたのを、子供心に覚えている。その敵討ちではないが、子供の頃は、近所の子供とよくケンカをした。母親の話では、小学校3年生までは、毎日謝りに行っていたそうである。一方弟は、私とは全く違って、「優しい」を人間にしたら、こうなるだろうというような性格である。これは今でも変わらない。そのせいか、いまだに独身である。優し過ぎるのも考えものだ。
私はこの町を14歳で出ることになるが、その話は追々することにする。