小学3年生頃まで、我が家にはテレビが無かった。
近所の電気屋さんの店先で、よくテレビを見ていた。当時見ていたのは、ウルトラマンと相撲だ。我が家の道を挟んだ向かい側の家にはテレビがあった。そこのおじさんは、巨人戦が始まると、道路から見える位置にテレビを移動してくれた。すると近所の人たちがテレビを見るために道路に集まってくる。道路と言っても車はほとんど通らない。縁台を持ち出して、ビールを飲みながら巨人戦に興じる人や、将棋を指す人もいた。正にオールウェイズの世界である。ちなみに、テレビで放映されるのは巨人戦だけである。「巨人・大鵬・卵焼き」とはよく言ったものだ。
大鵬はあまり記憶にない。私が子供の頃は、輪島、北の海、貴乃花、魁傑、旭國である。小学校でよく相撲をやった。近所の神社の奉納相撲では、毎年5人抜きをやって、賞品の野菜をたくさん貰って帰った。
私の通っていた小・中学校には給食がなかった。毎日弁当を持って行く。ある日、友達の弁当に小さなゆで卵が入っていた。ウズラの卵である。私の弁当には大きなゆで卵が入っていた。学校から帰って母親に、小さなゆで卵を弁当に入れてほしいとお願いしたが、中学卒業まで小さなゆで卵が私の弁当に入ることは無かった。おかげでウズラの卵コンプレックスになってしまった。