校長と班長が何か話している。班長に呼ばれた。「高橋ちょっと来い!」なぜか校長に紹介された。「後で、教官室に来い!」と班長に言われた。教官室は、あまり行きたい場所ではない。出来れば入りたくもない。
「第13班高橋生徒入ります!」「声が小さい!やり直し!」儀式のようなやり取りがあって、やっと目当ての班長の席にたどり着く。敬礼、直立不動の姿勢で「第13班高橋生徒呼ばれて参りました!」「「高橋!福島弁を標準語に直してから入ってこい!」また教官室に入るところからやり直しである。標準語と言われても、訛っている自覚がないので、どう直していいか分からない。仕方がない。元気いっぱいでもう一度!
「高橋、明日までにこれを覚えて来い!」班長から紙を渡された。「宣誓文」だった。何だか分からないが、覚えるしかない。「私は我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法・法令を遵守し…」
翌日は、入校式の予行だった。大講堂に初めて入った。そこで班長から「宣誓をしろ」と言われた。新入生代表である。なぜ私が選ばれたのか分からない。選ばれたからといって急に出来るものではない。予行といっても緊張する。校長の前で何度かやり直しをさせられた。校長の評価は「本番までに訛りを直せ!」だった。標準語ってなんだ?????