年末年始の休暇は10日程ある。休暇の前は楽しいが、休暇が始まるとあっという間に終わってしまう。夏の休暇前には10㎏減っていた体重も、年末年始休暇の前までには10㎏戻っていた。それからは卒業まで、どんな訓練をしても1㎏も減らなくなってしまった。
年末年始休暇が終わって学校に戻ると、直ぐに厳冬訓練が始まる。厳冬訓練とは、朝30分早く起こされて、隊内を走るのである。厳冬訓練の最終日には10㎞マラソンが待っている。秋口から毎日走らされて、この頃になると10㎞と言われても、さほど驚かなくなっている。
ところが、柔道部は駆け足免除である。その代わり、厳冬訓練期間中は道場で寒稽古である。江田島というところは、夏は暑いが冬は寒い。古鷹山と江田島湾があって、訓練には最適の場所だ。海軍が全国の候補地の中から選んだだけのことはある。お陰で朝の道場は、畳が氷のように冷たい。正に寒稽古である。
駆け足免除でも10㎞マラソンは免除にならない。これも班対抗なので、班の足を引っ張るわけにはいかない。柔道部の監督に走らなくていいのか?聞いてみた。監督は、「柔道をしていれば、足が速くなる。」と言う。柔道をしていて走るのが早くなるとは、聞いたことがないが、10㎞マラソンでは上位3分の1には入っていた。