2年生になると、モールス信号の受信訓練が本格化してくる。
当時は、通信に配属されると、モールス信号の送受信は必修だった。
最初はモールス信号を覚えなければならない。
そのために、毎日、書字訓練をさせられた。
書字訓練とは、A4サイズの方眼紙を綴ったものに、イロハ二ホヘト…と、カタカナを横に書いていく訓練である。
書く時に、「トツーイ」「トツートツーロ」「ツートトトハ」と発声しながら書くのである。
1日5枚程度書かされたように記憶している。
早い者は、3か月位で覚えてしまうようだ。
モールス信号を覚えてしまえば、後は受信のスピードを早くするだけである。
私は覚えが悪かった。
朝から晩までモールス信号漬けでもなかなか覚えられない。
スーパーのレジの音までモールス信号に聞こえてきた。
耳からモールス信号を聞いて、それを頭で変換して、紙にイロハの文字を書くということがなかなか出来ない。
必ず1文字か2文字抜けてしまう。
結局、卒業まで100点は一度も取れなかった。
最初に乗った艦では、毎日モールス信号で流れて来る気象を受信させられた。
ところが、次に乗った当時の最新鋭艦では、モールス信号は一切使わなかった。
あの苦労と努力はなんだったんだ。