試合の結果は2試合出場して2引き分けと、負けなかったという程度の成績だった。
チームは優勝候補ではあったが、準々決勝で負けてしまった。
せっかく舞鶴まで来たのだから一日ぐらい観光の時間があるかと思っていたら、そんな時間は全く無かった。
試合が終わったら直ぐに江田島に帰されてしまった。
舞鶴の思い出と言えば、天気が悪かったことと、港に大砲をたくさん搭載した古い型の護衛艦が数隻停泊していたことぐらいである。
翌日からまた以前と同じ塀の中の生活が始まった。
海上自衛隊柔道大会に最年少で出場したことを自慢するつもりもなかったが、何も聞かれなかった。
3月は4年生が卒業する。
4年生が卒業すると、我が25期も3年生である。
やっと人間になれる。
3年生になると、階級も一つ上がる。
2等海士から1等海士になる。
階級章にⅤマークが1つ増えるだけだが、ちょっとは階級章らしく見える。
昇任日は4月1日だ。
前日に制服や作業服の階級章を全て付け直さなければならない。
付け直すと言っても、自分で縫わなければならない。
制服を着た時に、左腕の階級章が真っ直ぐになるように縫うのはなかなか難しい。
1等海士の階級章はそれなりに大きいため、縫い直しはかなりの負担だ。