半年ほど話は遡って昭和55年の冬、2年生の年末年始休暇の時の話である。
毎年、弥山登山競技が終わってから休暇となる。
だいたい12月24日クリスマスイブの頃だ。
この年も、ちょうどその頃から休暇となった。
広島から新幹線に乗って東京まで行き、上野から夜行で福島に帰る予定だった。
ところが東京に着いてみると、東北本線は雪のため全線で不通となっていた。
行くところがないので、大宮の親戚の家に泊めてもらった。
電車が動いたのは三日目だった。
直ぐに大宮駅に行き特急に乗った。
福島駅に着いたのはいいが、川俣町までのバスが動いていない。
福島市内に親戚はいないので、陸上自衛隊に電話をした。
バスが動くまで泊めてもらおうと思った。
駅前で待っていると陸上自衛隊の車が迎えに来てくれた。
駐屯地に連れて行かれて、なぜか司令室に案内された。
司令と何を話したかは覚えていないが、家まで送ってくれるということになった。
ジープに乗せられ「しっかり捕まってろ」と言われた。
通行止めの看板を無視して、深雪の県道をどんどん走って行く。
除雪作業をしていた人たちも驚いてこっちを見ている。
ものすごいパワーの車だ。
さすが陸上自衛隊。