中学に進学したばかりの頃、女子だけ教室に残って、男子だけ校庭に出された。別に何をするわけでもなく、ただ校庭で遊んでいればよかった。友達に「なんだろうね?」と訊ねると「整理の話だろ?」と言う。女子だけ整理整頓の話か?男子は整理整頓しなくてもいいのか?と思っていた。すると友達の一人が、「お前知らないのか?」「…」「本当に知らないのか?」「明日、本を持って来るから読め!」と言う。
次の日、友達がお兄さんから借りてきた「チビっ子猛語録」という赤い表紙の本を貸してくれた。1ヶ月貸してもらった。そこには私の知らない世界があった。学校の勉強はもともとしていないが、学校の勉強もせずに、何度も読んだ。あの情熱を勉強にぶつけていれば、人生が違ったかもしれない。チビっ子猛語録が英語で書かれていたら、必死に訳したかもしれない。それほど衝撃的な本だった。現在は発売禁止になっているらしい。今の子供たちは、かわいそうである。
高校の男女共学に最後まで反対した福島県であるが、チビっ子猛語録を読んだ私は、絶対に男女共学に行こうと決めた。私の住む町から少し遠いが、3年前まで女子高だった高校がある。男女の比率は3対7である。私の志望校は決まった。ところが世の中は面白いもので、男女共学どころか高校にすら行けなかった。