3年生の時、安芸郡柔道大会が江田島で開催された。
私たちの少年術科学校は参加する予定がなかった。
そのため、開催日も場所も知らなかった。
いつものように道場に行くと幹部候補生学校の教官から「日曜日に安芸郡柔道大会が江田島で開催されるから見学に来い」と言われた。
折角の上陸日を潰して見学に行くのは気が進まなかった。
「見学も練習のうちだ。」と言われ、仕方なく見学に行くことにした。
見学だから柔道着は不要と思っていたら「見学でも柔道着を持って来い」と言われてしまった。
上陸員整列後、柔道着を持って会場に向かった。
教官たちは既に来ていた。
教官から「高橋、二段だよな?」
「二・三段の部の個人戦に欠員が出たから、お前代わりに出ろ!」と言われた。
はめられたと思ったが遅かった。
トーナメント表には既に私の名前が書かれていた。
欠員の代わりではなく、最初から出すつもりで私を会場に呼んだのだ。
二・三段の部は体重別ではなく、しかも一般�の部なので国体選手とかも出場していた。
初戦敗退も仕方がないと覚悟していたが、何故か優勝してしまった。
教官たちも優勝するとは思っていなかったようである。
学校に無断で出場したため、学校には報告していない。
そのためこのことを知っている人は少ない。