卒業。
中学を出てから4年間お世話になった江田島ともお別れである。
地獄の1年生から神様の4年生までよく我慢したものだ。
この4年間で、この先なにがあっても生きて行けるという変な自信だけがついた。
この変な自信が後に災い?となるのだが…
卒業式では卒業証書授与のほかに成績優秀者が表彰される。
優等賞3名、努力賞3名の計6名である。
成績優秀者は成績順に並ぶ。
1番から順に名前が呼ばれる。
5番目に私の名前が呼ばれた。
努力賞である。
入校した時の成績が55番だから、50人抜いたことになる。
入校時、福島から来るやつに優秀なやつはいないと教官に言われたことを思えば上出来である。
などと平静を装いながら一人で喜んでいた。
ところが名前を呼ばれたのは7名だった。
優等賞が1名増えたか、努力賞が1名増えたのだろうと思っていた。
どちらにしても私は努力賞だ。
この謎は7番目の同期が表彰される時に分かった。
皆勤賞だった。
この瞬間「負けた」と思った。
この同期は4年間1回も休まず、見学もなく全てやり切ったのである。
生徒の4年間はそんなに生易しいものではない。
ここで皆勤賞を取るやつがいるとは思ってもいなかった。
他の同期には負けたとは思わないが、皆勤賞を取ったこの同期には完敗である。