「艦に乗っていて普段は何をしているのか」と質問をうけることがある。
実際に戦争をしているわけではないので、やっていることは全て訓練である。
射撃訓練はもとより、対潜・対空戦闘訓練など、あらゆることを想定して昼夜を問わず訓練が行われる。
例えば、対空戦闘訓練をしている最中に、ミサイルが艦に命中して火災が発生するとか、浸水するとか、負傷した人の応急手当をするとかである。
訓練は、「カンカンカン」というアラームの音とともに開始され、総員が戦闘配置につく。
戦闘配置につくまでの時間も訓練項目なのである。
訓練が連続して行われると、ベッドで寝ることができない。
戦闘配置についたまま隙間時間で寝ることになる。
魚雷の発射訓練があった。
本物ではなく訓練用のダミーである。
そのため発射された魚雷はしばらくすると海面に浮いてくるのである。
これを回収しなければならない。
私はトランシーバーを持って内火艇で回収に向かった。
ところが途中でトランシーバーが故障して、艦と通信ができなくなってしまった。
無事に艦には戻れたが、後で艦長に呼び出された。
「これから毎日トランシーバーを抱いて寝ろ」と言われた。
この日から「おおい」を退艦するその日までトランシーバーと寝ることになってしまった。
