入校して1か月位たつ頃から部活がはじまる。必ず運動部に入らないといけない。私は中学の時に柔道をしていたので、ここでは違う部に入ろうと思って、ラグビー部、剣道部、水泳部を希望した。ところが発表になると柔道部だった。班長に柔道部は希望していないと話すと、「お前、初段だよな?柔道部だよ!」と、取り付く島もない。だったら希望を取るなと言いたい。
初めて道場に行った。大きな武道場で、半分が剣道場になっていた。もっと驚いたのが、柔道部の先輩たちである。学校であまり関わりたくない先輩がたくさんいた。特に4年生と3年生はわざわざ集めたのかと思うほど揃っていた。
ある日、昼食にスイカが出た。今年初物である。最後に食べようと思って残しておいた。ところが柔道部の先輩から、1年は屋上に集合しろと、呼び出しがあった。スイカを残したまま屋上に駆け上がった。柔道部の1年生は、毎朝全ての柔道着を屋上に干さなければならなかったが、その日は干し方がまずかった。
先輩にこってりと怒られて食堂に戻ると、スイカは既に片付けられていた。同期が残しておいてもらえるように、食堂に頼んでくれたようだが、時間で片付けられてしまった。この学校では、美味しいものは先に食べないと食べられなくなることを学んだ。