中学2年に進級する時、クラス替えがあった。1年6組から、2年8組に替わった。新しい教室に行った。何かが変だ。最初は分からなかったが、しばらくして気が付いた。1年6組から2年8組にクラス替えになったのは、私一人だけだった。更に、2年8組は進学クラスで、頭のいい奴ばかりがいた。私は落ちこぼれとまでは言わないが、出来がいい方ではない。場違いなクラスに来てしまった。
1年の時の担任の先生に呼ばれた。「お前一人だろう!何で一人か分かるか?」私に分かる訳がない。「お前に仲間を付けてやるとクラスが壊れるから一人にしたんだ!」と言われた。先生達は何を考えているのか?仲間を作って何かをしようとさえ思わなければ、一人の方が、かえって気が楽でいいと言うものだ。
そんな中学校生活で唯一の救いは、同じクラスにとっても可愛い女の子がいたことだ。毎日彼女に会うために学校に行ったようなものだ。お陰で登校拒否にもならなかった。夏休みの初日、初めてその彼女と二人だけで会った。喫茶店など気の利いたところがない田舎だ。学校の近くの神社で会った。デートと言えはデートだが、そこはまだ中学生。可愛いものだ。
ところが、話題の無い田舎のこと。中学生の男女が一緒にいるだけで、事件となるのである。