私は電信員(通信員)として乗艦していたが、モールスの受信が苦手だった。
生徒期間中さんざん受信訓練をさせられたが上手くならなかった。
そのため航海中は毎日、受信訓練を兼ねて気象電報を受信しなければならなくなった。
当時の気象庁は船舶のために気象情報をモールス信号で配信していたのである。
同じ電報が2回流れてくる.
1回目で誤受信や聞き逃しがあっても、2回目で補うことができる。
自衛隊の電報は全て暗号化されているため数字の羅列であるが、気象庁は和文で送ってくる。
私はそれを横書きの受信紙にカタカナと数字で受信して、後で電報用紙に清書していた。
ところが、慣れた先輩はこれをカナ英文タイプライターで受信していた。
それだけでも驚きであるが、ある時、電信長が俺にもやらせろと言って受信を始めた。
電信長は初めから縦書きの電報用紙に、漢字、ひらがな、数字で受信し出したのである。
受信後、そのまま回覧することができる。
正に神業を見たような気がした。
やはり生徒の一桁代は神様だった。
ある日、用事でジャイロ室に入った。
するとそこに使っていないFAXがあった。
このFAX、気象図はもちろん新聞まで受信できる優れものだった。
この発見により気象電報の受信から解放されたのである。

