柔道部の練習は、海上自衛隊幹部候補生学校、第1術科学校、少年術科学校の3校合同である。
幹部候補生学校や、第1術科学校から来ている人たちは、高校や大学、部隊等で柔道を経験してきた猛者ばかりである。
4月から幹部候補生学校の教官が二人、柔道の練習に来るようになった。
二人とも年齢は30歳位で物凄く強い。
以前は国体選手で、段位は5段だった。
柔道がとっても好きらしく毎日道場に来る。
とうとうそのうちの一人に捕まってしまった。
柔道の練習が始まってから終わりまでずっと相手をさせられる。
私が、寝技が苦手と分かると、始まってから終わるまで、ずっと寝技の練習である。
豚耳になるのに、時間はかからなかった。
内出血している耳を容赦なく攻めてくる。
あっという間に、両耳がパンパンに腫れ上がった。
紫色の豚耳誕生である。
風が吹いても痛い。
夜、寝返りも打てない。
何より恥ずかしくて、上陸しても外を歩けない。
2年生の夏頃に広島で2段の昇段審査があった。
受けに来ていたのは、県内の高校3年生と大学生である。
高校2年生は私一人だった。
6人連続で勝ち抜けば合格である。
チャンスは2回。
私は1回目も2回目も6人目で引き分けてしまった。
お情けで何とか合格を頂いた。
豚耳のお陰かもしれない。